ディスカッションの中で、地域通貨、特にばんだいコインを中心に持続可能な流通とその施策について議論が行われました。主なトピックとして、地域内で地域通貨が円に戻らないような「転々流通」の実現で、これは地域内流通を増やすための重要なポイントです。円に戻してしまうとその価値は再び漏れバケツのごとく地域外に漏れ出てしまうためです。また、現時点では独自の通貨を利用するインセンティブがプレミアムとなっており、その原資を町が将来に渡って永遠に負担し続けることは難しいだろうという観点でも必要と考えられます。
転々流通のための具体的な施策としては、C2C(消費者間取引)やB2B(企業間取引)の利用促進があります。C2Cの取引は現在も可能ですが、ばんだいコインでは利用が少ないようで、これは想定されるユースケースが少ないことや告知の問題と考えられます。C2C取引を増やすためにもコミュニティ内でやり取りのできるサービスやボランティア、相互扶助などの利用イメージを利用者に持たせることが必要です。
一方、B2Bの利用はまだできないそうですが、将来的には開放することを検討しているとのことでした。例えば道の駅で販売されている野菜の売上が地域通貨で支払われるようになれば、より流通量を増やすことができると考えます。ただ、利用者との十分な議論やばんだいコインを受け取るインセンティブの設計が重要になると思われます。
また、プレミアムの原資の問題や独自の通貨を利用するインセンティブに関連して、本来の地域通貨システムの一つとしてLETS方式について議論されました。C.C.Walletが採用するLETS型システムではユーザ自身が通貨を発行できます。そのため円兌換しない条件のもとで地域通貨を仕入れ値を除いた金額に対する割引という形とすることで、税制上の問題も生じさせずにプレミアムの代わりとなるインセンティブを生み出すことができるのではないかといった議論がありました。
最後に、いずれにしても利用促進のためには流通状況のデータを可視化し広く公開することが重要であるとの認識で一致しました。ばんだいコインのデータは統計化された状態でオープンデータ化していく方針となっています。